
ねえゆう、真っ黒なブラックホールの写真って、どうやってとったの?

そこに気づいたね。ふつうのカメラとは、少しちがうんだ
うつったのは、ブラックホールそのもの?


にゃんと!! オレンジのドーナツを見つけたの!?

近くに行ったら、ひとくち食べられる?

食べられる輪じゃないよ。ブラックホールの近くの熱いガスなんだ

ガスが、写真のもとになるの?

そのガスは、目に見えない電波を出しているよ

見えない電波も、色にすれば見つけられるんだね

電波望遠鏡で受けて、色に置きかえるんだ

真ん中の暗い所は、ブラックホールの「影」なんだね

真っ黒なクッキーを探す代わりに、周りの砂糖を見る感じだねえ

にゃんと!! ブラックホールじゃなくて、周りを見てたの!?

2019年にはM87*、2022年にはいて座A*の画像が発表されたよ
地球くらい大きな望遠鏡を、どう作るの?


世界じゅうのねこが、いっせいに肉球をぺたん!?

にゃんとも楽しそうな景色だねえ

でも、ほんものは望遠鏡で同じ空を見るんだよね?

望遠鏡は肉球じゃないけれど、考え方は少し似ているよ

そう。EHTは、世界各地の電波望遠鏡で同じ空を同時に見るチームなんだ

望遠鏡どうしを、くっつけるの?

肉球スタンプも、くっつけちゃうの?

望遠鏡は肉球じゃないよ。遠く離れた記録を、あとで組み合わせるんだ

望遠鏡どうしを、くっつけなくていいんだね!

ねこたちが同じ時刻に押した肉球スタンプを、並べて大きな絵にするみたいだね

うん。ばらばらの場所でも、同じ空を見られるんだねえ
望遠鏡で集めた電波は、どうやって1枚になるの?


望遠鏡は、波長がおよそ1.3mmの電波を受けて、時刻といっしょに記録するんだ

記録を重ねたら、すぐ1枚になるの?

まず、記録した時刻どうしをていねいに照らし合わせるよ

時刻を照らし合わせるのは、すずの音を重ねて鳴った場所を探す感じなんだね!

データは、おやつのレシートみたいに、なくさないよう大切に運ぶんだ

ゆう、またおやつのこと考えてる?

レシートは食べちゃだめだよ!

ふふ。集めた記録から、観測に合う明るさの形を計算でたしかめるんだ

だからこれは想像で描いた絵ではなく、電波の記録から作る科学の画像なんだね!

計算で出した輪が、本当に正しいか心配だな…

……うん。
1枚できたら、それで正解?


計算で輪が出たら、もう「できた!」でいいの?

ううん。ちがう計算のしかたでも、同じ手がかりが見えるか調べるんだ

クッキーの形を、ちがう型でもくらべるみたい?

そのとおり。ひとりの見まちがいじゃないか、何度も確認するんだ

望遠鏡の調子や、地球の空気のゆらぎも、何度もたしかめるんだね

いて座A*の近くのガスは、短い時間でも様子が変わるから、特にむずかしいよ

短い時間でも様子が変わるから、特にむずかしいんだね

みいの描いたドーナツも、写真にしよう!

うーん、ドーナツの輪もきれいだねえ

まず本物の電波の記録と合うか、博士たちに見てもらうんだね!

そう。何度もたしかめて、画像にするんだよ
ねこ換算

望遠鏡どうしの広がりは、だいたい1万kmにもなるの?

みいがおよそ2,500万匹、横一列に寝そべるくらいの長さだね

にゃんと!! みい、地球をぐるっとお昼寝できちゃう!

実際にねこを並べたわけじゃないよ。その広がりで同じ空を見たんだ

ねこで考えると、望遠鏡の大きさが想像できるね!
3ぎょうまとめ
-
ブラックホールの「写真」は、周りの熱いガスが出す電波から作る科学の画像
-
世界中の電波望遠鏡が同時に観測して、地球くらい大きな望遠鏡のように働く
-
記録を何度も照らし合わせ、ちがう方法でもたしかめてから画像にする
きょうのナゾ


もっとくっきり見たら、ガスが動くところも追えるの?

もっと多くの望遠鏡で、どこまで短い時間の変化を追えるか研究中なんだよ

それって、まだ誰にもわからないなぞなの?

うん。博士たちが調べている途中なんだ
つぎはこれ!
おとなメモ(おうちの方・先生へ)
-
EHTは、地球全体を覆う1台の望遠鏡ではありません。各地の望遠鏡が同時に受けた電波を組み合わせる、超長基線電波干渉計(VLBI)です。地球規模の開口に相当する角分解能を得ます。
-
本文の「肉球スタンプ」は、離れた観測地点の記録を組み合わせる説明です。望遠鏡が物理的につながるわけではなく、同じ時刻を高精度に記録し、位相情報を相関処理します。
-
「写真」は一般向けの表現です。EHT画像は波長約1.3mmの電波干渉計データから計算で再構成した科学画像で、可視光カメラの直接写真でも、単なる想像図でもありません。
-
M87*の明るい輪は、周囲の高温プラズマが放つ電波と強い重力による光の曲がりなどを反映します。中央の暗部は事象の地平線そのものではなく、ブラックホールの「影」と呼ばれる明暗構造です。
-
画像化では独立したチームや複数の手法、較正、合成データ試験を用い、処理方法だけが作った形ではないかを検証しました。いて座A*では周囲のガスが短時間で変化するため、時間変動を考慮した画像化が必要でした。
-
ねこ換算の根拠: 最大の望遠鏡間隔を約1万km、みいの体長を約40cmと仮定しました。10,000,000m ÷ 0.4m = 25,000,000匹です。実際の観測地点と基線長は観測ごとに異なります。
参考にした資料
-
Event Horizon Telescope — First Image of a Black Hole: https://eventhorizontelescope.org/press-release-april-10-2019-astronomers-capture-first-image-black-hole
-
Event Horizon Telescope — First Image of Sagittarius A*: https://eventhorizontelescope.org/press-release-may-12-2022-astronomers-reveal-first-image-black-hole-heart-our-galaxy
-
Event Horizon Telescope — Technology: https://eventhorizontelescope.org/technology
-
EHT Collaboration — First M87 Event Horizon Telescope Results. IV: https://doi.org/10.3847/2041-8213/ab0e85
-
EHT Collaboration — First Sagittarius A* Event Horizon Telescope Results. III: https://doi.org/10.3847/2041-8213/ac6429
(最終更新日: 2026-08-11)