
ねえゆう、ブラックホールの近くだと、時計がおそくなるってほんとなの?

うん、ほんとだよ。ただし、自分の時計がこわれるわけじゃないんだ
時間は、どこでも同じじゃないの?


時計は、どこに置いても同じ速さで進むんじゃないの?

ふだんはそう見えるね。でも重力が強い場所ほど、時計は少しゆっくり進むんだ

じゅうりょくで、時計が引っぱられるんだね。

おやつ時計を、床と高い棚に置くと思ってごらん

高い棚の時計のほうが、ほんの少しだけ先へ進むの?

そうなんだよ。高い棚の時計のほうが、ほんの少しだけ先へ進むんだよ

にゃんと!! キャットタワーなら、宿題が早く終わるわけじゃないんだね!

差はほんの少しで、宿題の時間は変わらないよ。でも強い重力では大きくなるんだ

なるほど、強い重力の近くほど差が大きいんだね!
ブラックホールのそばの1分はどう見える?


じゃあ、ブラックホールのそばにいるゆうは、のろのろ動くの?

ぼく自身には、いつもの1分も、心ぞうも考える速さも、おやつを食べる速さも、ふつうなんだ

心ぞうも考える速さも、おやつを食べる速さも、ふつうなの?

うん。遠くにいるみいの時計と、あとで比べると差が見えるんだ

ゆうだけ、おやつをゆっくり食べられるわけじゃないんだね!

プリンの上をへこませると、目盛りがのびる感じに近いかな

時間の道が、重力でへこむんだね。

プリンのへこみの底で、ゆうだけのんびりしてるんだね!

そのたとえは、時空の曲がりを想像する助けになるよ

もしぼくが近くで昼寝したら、みいが先に大人ねこに……ふわ……

ゆう! ねないで! 差が大きい場所は危ないんでしょ!
止まって見えるって、ほんと?


遠くから見ると、落ちるものが止まって見えるって聞いたよ。赤く暗くなるのはどうして?

遠くへ届く光が、だんだん遅れて、赤く暗くなるからそう見えるんだ

遠ざかる鈴の音が、だんだん小さく聞こえるのに少し似ているよ

光も、遠くへ行くと鈴の音みたいに弱くなるんだね。

光も、強い重力から遠くへ出ると、のびて届くんだ

じゃあ探査機は、地平線の上でずっと止まっちゃうの?

遠くでは最後まで見えないけれど、探査機自身は限られた時間で事象の地平線を通ると考えるよ

最後まで見えないの、なんだかこわいな……

……うん。まずは安全な遠くから見ていようね

みい、片足だけ地平線に置いて、外から見てみる!

だめだよ。近くはとても危険だから、探査機で調べる話なんだ
時間がおそくなると、宇宙旅行はできる?


時間の差を使えば、未来へ旅行できるの?

時計の進み方に差が出るから、遠くの人より未来へ進む形にはなるよ

未来へ進む形でも、時間を早送りするボタンではないんだね。

そうなんだ。時間を早送りするボタンではないんだ

じゃあ、ブラックホールの近くへ行けばいい?

おやつを持って、近くで昼寝したら……

ゆう、それはだめ! 強い重力で、ぺちゃんこになるかもしれないよ!

その通り。近くでは場所による重力の差が体を強く引っぱることがあるんだ

近くへ行くのは、やっぱりだめなの!

熱いガスや強い放射もあるから、宇宙旅行の行き先にはできないよ

安全な遠くから、時計を比べて調べるんだね!
ねこ換算

回っていないブラックホールの近くでは、60分が遠くのおよそ73分に見える場所もあるよ

にゃんと!! ねこが1時間昼寝している間に、13分ぶん差がつくの?

そういう時計の比べ方ならね。でも、そこは安全な散歩道じゃないんだ
3ぎょうまとめ
-
重力が強い場所の時計は、遠くの時計と比べるとゆっくり進む
-
ブラックホールの近くでも、自分の1分や心ぞうの速さはふつうに感じる
-
遠くからは、届く光がおそく赤く暗くなり、落ちる物が止まるように見える
きょうのナゾ


ねえゆう、ブラックホールの中では、時間と空間はどうなるの?

それって、まだ誰にも答えが出せないなぞなの?

うん。今の物理のルールだけでは、中心のようすを最後まで説明できないんだよ
つぎはこれ!
おとなメモ(おうちの方・先生へ)
-
重力による時間の遅れは一般相対性理論の予測で、異なる重力ポテンシャルにある時計を比較したときに現れます。本人の固有時、心拍、思考、手元の時計は通常どおり進みます。
-
本文の「高い棚の時計」は正確な方向性を示すたとえです。地上の高低差でも原子時計で測れる差があり、GPSでは重力と運動による時計の補正を両方考慮しています。
-
「止まって見える」は、遠方の観測者に届く光の重力赤方偏移と到着遅延を単純化した表現です。自由落下する観測者は有限の固有時で事象の地平線を通過します。
-
ねこ換算の根拠: 非回転・非電荷のシュヴァルツシルトブラックホールについて、最内安定円軌道(半径6GM/c²)で静止した理想化した時計を遠方と比べると、時間の比はおよそ1.22です。近くの60分に対し遠方で約73分が経過する概算です。実際にはその場所で静止するには推進が必要で、潮汐力・降着円盤の放射などの危険もあり、旅行の方法を示すものではありません。
-
「プリンのへこみ」は時空の曲率を二次元的に表した教育用の比喩です。実際の重力は空間だけでなく時間を含む四次元時空の幾何として記述されます。
参考にした資料
-
NASA — Black Holes: https://science.nasa.gov/universe/black-holes/
-
Einstein Online — Relativity and satellite navigation: https://www.einstein-online.info/en/spotlight/relativity-satellite-navigation/
-
Einstein Online — Gravitational redshift and White Dwarf stars: https://www.einstein-online.info/en/spotlight/redshift_white_dwarfs/
(最終更新日: 2026-08-11)