
ねえゆう、「ゆうれい粒子」って、なあに?

ゆうれいなのに、体をすりぬけるの?

おもしろい名前だねえ。ニュートリノっていう、とても小さい粒なんだよ
ニュートリノは、見えない小さな「おたより」


ニュートリノは、電気を持たない、とっても軽い素粒子のなかまなんだ

そりゅうしって、どんなつぶなの?

ものをつくる、いちばん小さいつぶ、ってことだよ

それで「ゆうれい」って呼ばれるの?

ほかのものに、ほとんどぶつからず、すりぬけやすいからなんだ

にゃんと! すりぬけるから、そんな名前なんだ!

おやつをふるう、目の大きいざるを思ってごらん。お米つぶは、あみをするっと通りぬけちゃうよね

じゃあ、ゆうのおやつも、ざるをすりぬけて消えちゃう!?

それは困るねえ……ぼく、ざるの前で見張っていようかなあ

ゆう、まだおやつの心配してるの!?

ごめんごめん。ニュートリノはおやつでも、本当のゆうれいでもないよ。すりぬけやすい小さな粒なんだ
太陽のまんなかから、今もやってくる


にゃんで? ニュートリノって、どこから来るの?

太陽のまんなかで生まれて、たった8分くらいでちきゅうまで届くんだよ

太陽のまんなかで、生まれるんだね

太陽の中で水素からヘリウムができるとき、いっしょに生まれるんだ

にゃんと! 太陽の中を最短コースでかけっこだー!

ニュートリノはほとんどぶつからずまっすぐ進むけど、光は何度もぶつかって進む向きを変えるんだ

じゃあ、光より先に着いちゃうの?

うん。太陽の中心から出発する速さなら、ニュートリノのほうがずっと早く外へ出られるんだよ

太陽以外にも、やってくる場所があるんだね!

超新星が爆発するときや、原子力の発電所、宇宙線からも生まれるよ

にゃんと! 宇宙からも来るんだ!
体も地球も、ほとんど気にせず通りぬける


じゃあ、みいの体も、いつもすりぬけられてるの?

そうだよ。毎秒ものすごい数のニュートリノが、みいの体を通っているんだ

にゃんと……みいの体、穴だらけなの!?

……びっくりしたね。ぼく、ここにいるよ

よかった……ゆうが隣なら、安心できる

穴はあかないよ。体育館くらい広い場所に、目に見えない細い通り道がいっぱいあるんだ

通り道を、ほとんど誰にもぶつからずに通るの?

鬼ごっこみたいに、ほとんど誰にもぶつからずにすりぬけると思ってごらん

たまにはぶつかるなら、先に教えてよー!

うん、ものすごくまれに、体の中の原子にぶつかることもあるんだ

でも、ほとんど気づかないよ。電気を持たず、「弱い力」でしか、ほかのものと関わらないから、心配しなくていいんだ
どうやって「いた!」と見つけるの?


にゃんで? そんなにすりぬけるのに、どうやって見つけるの?

めったに起きないぶつかりを、大きな水や氷のかたまりを使って、じっと待つんだよ

大きな水や氷で、ぶつかる瞬間を待つんだね

広い池に一度だけ落ちた雨つぶの波紋を、何日も待って見つけるようなものだね

波紋、気長に待つの……?

水を見てると、ぼくも待つのに……ふわ……

ゆう、観測じゃなくて昼寝になってるよ!

ふわ……ごめんごめん。博士さんたちは起きて見つけるんだね

そうか! この方法なら、光だけでは見えない場所の様子もわかるんだ!

太陽のまんなかや超新星の中も、わかるの?

うん。太陽のまんなかや超新星の中みたいなところもね
ねこ換算


太陽からくるニュートリノは、1平方センチメートルを毎秒およそ650億個も通っているんだ

にゃんと!! そんなにたくさん!?

みいの肉球1つぶんの広さでも、毎秒ものすごくたくさん通っている計算になるよ

肉球からも、みいの知らないおたよりがいっぱい……
3ぎょうまとめ
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ニュートリノは電気を持たない小さな素粒子で、ほとんどのものとぶつからずすりぬける
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太陽のまんなかなどで生まれ、地球にも体にも毎秒たくさん届いているが、心配はいらない
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見つけるには、大きな水や氷の観測装置で、まれなぶつかりをじっと待つ
きょうのナゾ

ねえ、ニュートリノの3種類って、どれがいちばん重いかまだわからないの?

うん。少しだけ重さがあることはわかったけど、どの順番で重いかはまだ確定していないんだよ

にゃんと! じゃあ、答えを待つなぞなんだね!
つぎはこれ!
おとなメモ(おうちの方・先生へ)
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「ゆうれい粒子」は俗称で、正確にはレプトンに分類される素粒子です。電荷を持たず、弱い相互作用と重力にのみ関わります。「すりぬける」は、相互作用断面積が極めて小さく、検出確率が非常に低いことの単純化した表現です。一度も反応しないという意味ではありません。
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太陽ニュートリノは太陽中心部の核融合反応(陽子-陽子連鎖反応など)で生じますが、全てが同一のエネルギー・生成反応というわけではありません。本文の「まっすぐ進む」は、光子が太陽内部で散乱を重ねて時間がかかる(光子拡散時間はおよそ数万年〜10万年規模とされる)のに対し、ニュートリノはほぼ直進して約8分で届く、という対比を単純化したものです。
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ニュートリノには電子・ミュー・タウの3つのフレーバーがあり、飛行中にフレーバーが変化する「ニュートリノ振動」の発見が、ニュートリノに質量があることの証拠となりました(2015年ノーベル物理学賞)。ただし振動観測からわかるのは質量の2乗差であり、絶対質量の値や3種類の質量の順序(質量階層)は未解決です。
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大型検出器(スーパーカミオカンデなど)は水や氷を用い、ニュートリノそのものを直接観測するのではなく、まれな相互作用で生じる荷電粒子が発するチェレンコフ光などを検出します。
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ねこ換算の根拠: 太陽ニュートリノの地表フラックスはおよそ毎秒毎平方センチメートル650億個(Nobel Prize 2015 の解説資料等の概説値)。肉球の面積は個体差があるため、本文では「肉球1つぶんの広さでも、毎秒ものすごくたくさん」という表現にとどめています。
参考にした資料
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Super-Kamiokande — What is a Neutrino?: https://www-sk.icrr.u-tokyo.ac.jp/en/sk/neutrino/about/
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Super-Kamiokande: https://www-sk.icrr.u-tokyo.ac.jp/en/sk/
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The Nobel Prize in Physics 2015 — Popular information: https://www.nobelprize.org/prizes/physics/2015/popular-information/
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The Nobel Prize in Physics 2015 — Press release: https://www.nobelprize.org/prizes/physics/2015/press-release/
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SNO Collaboration, Direct Evidence for Neutrino Flavor Transformation from Neutral-Current Interactions in the Sudbury Neutrino Observatory, Phys. Rev. Lett. 89, 011301 (2002): https://doi.org/10.1103/PhysRevLett.89.011301
(最終更新日: 2026-08-11)