
ゆう! みい、宇宙のはしっこまで走って見てくる!

待って待って。走っても、はしっこの壁は見つからないんだよ
見える宇宙は、宇宙のぜんぶなの?


にゃんで? ずっと走れば、いつかぶつかるでしょ?

実はね、ぼくたちに見えているのは、光が届いた分だけなんだ

光が届いた分だけなんだね……

くらい部屋を、ライトで照らすのに似ているよ。明かりの外にも、部屋は続いているよね

明かりの外は、見えないだけなんだ!

えっ、宇宙の先には、まだ光が来ていないところもあるんだ……

そう。遠すぎて、光がまだ届かないところもあるんだ

それなら、見えるところをはしっこの壁って言わないでよー!

この見える範囲を、観測できる宇宙というよ。壁ではなく、光の届いたしるしなんだ

にゃんと!! その先も続いてるかもしれないの!?

うん。宇宙全体がどこまで広いかは、まだ分かっていないんだよ
赤ちゃん宇宙が、ものすごくふくらんだ?


赤ちゃんのころの宇宙って、どんなだったの?

空のどこを見ても、うすーい光が届いていてね。赤ちゃん宇宙からのお便りなんだ

その光は、どこも同じような温度なんだね

宇宙マイクロ波背景放射といって、どこもほとんど同じ温度なんだ

どこも同じなのに、ふしぎだなあ……

生まれたての宇宙が、ほんの一しゅんでものすごくふくらんだ、という考えがあるんだ。むらにも合うよ

それが、インフレーションなんだね!

レーズンパンのきじがふくらむのに似ているんだ

レーズンは大きくならず、間だけ広がるー!

ゆう、また食べものの話に寄り道してるよ。宇宙は何かの中でふくらんだの?

きじにあたる空間そのものが、まるごと広がるんだ。外の空気の中の風船とはかぎらず、場面は見られていないよ
あわみたいな宇宙が、いくつも生まれる?


インフレーションって、そのあとどうなったの?

まわりでは終わったよ。場所によって続く模型もある。あわごとに物のきまりがちがうのも、まだ仮説だよ

終わった場所が、あわみたいにポコッと生まれるんだね

終わった場所が、あわのようにポコッと生まれる。これを永遠のインフレーションというよ

にゃんと!! 宇宙が、いくつもできちゃうの!?

クリームソーダのあわが、次々わいてくるみたいだねえ。……おなかすいたな

ゆう! 宇宙をのもうとしないで!

ごめんごめん。あわは、ようすを伝えるための絵で、コップの中の話ではないよ

そんなあわがいくつもあっても、となりには行けないんだね……

……うん。ぼくは、みいのとなりにいるよ

ここでゆうと考えられるなら、ちょっと安心したー
ほかの宇宙を、どうやってたしかめるの?


となりのあわには、遊びに行けるの?

行けないんだ。光も情報も届かないほど、はなれると考えられているよ

見えないなら、科学でたしかめるのはむずかしそうだね……

そう思うよね。だから博士たちは、「もし昔ぶつかっていたら?」と考えたんだ

ぶつかっていたら、あとが残るんだね

べつべつの池でできたなみのわがぶつかると、あとが残るよね。それと同じ考え方だよ

そのあとを、宇宙のマップからさがすんだ!

うん。背景放射の丸いもようを調べた研究があるけれど、決まるあとはまだ見つかっていないよ

行けなくても、ここで調べているなら、ちょっと安心だね

見つからないなら、ないってこと?

それも言えないんだ。「まだ見つからない」と「ぜったいにない」は、ちがうんだよ
ねこ換算

観測できる宇宙の直径は、およそ930億光年と考えられているよ

それって、ねこにゃん匹ぶん?

みいを鼻の先からしっぽまで50センチとして、一直線にならべてみよう

18のあとに、0が26こ。それだけの数のみいが、ならぶことになるんだ

ぜんぜん、そうぞうできないー!

しかもこれは、見える範囲の話。宇宙全体の大きさじゃないんだよ
3ぎょうまとめ
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ぼくたちに見えるのは光が届いた範囲だけで、宇宙全体の広さはまだ分かっていない
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初めの宇宙が急にふくらんだ「インフレーション」から、あわのような宇宙がいくつも生まれる、という仮説が出てくる
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ほかの宇宙は今のところ見つかっておらず、たしかめる方法をさがしているところ
きょうのナゾ

ほかの宇宙だけがのこせる、まちがえようのないあとって、まだわからないの?

うん。ほかの説明では出ないしるしを、博士たちがまだ探しているところなんだ
つぎはこれ!
おとなメモ(おうちの方・先生へ)
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「観測できる宇宙」は、宇宙の有限な年齢・光速・膨張の歴史によって、現在の私たちと因果的につながりうる範囲のことです。物理的な殻や宇宙全体の果てではありません。本文の「ライトで照らす部屋」のたとえは、見えない領域があることを伝えるための単純化で、実際には「まだ光が届いていない」という時間の制限が加わります。
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宇宙マイクロ波背景放射に見られる、ほぼスケール不変で断熱的な原始ゆらぎなどは、広いクラスのインフレーションモデルと整合します。ただしインフレーション固有の唯一の証拠ではなく、機構(インフラトンの正体)は確定していません。原始重力波に由来するBモード偏光は未検出で、テンソル・スカラー比には上限が与えられている段階です。本文で「証明された」と書いていないのは、このためです。
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「宇宙が広がる」は、既存の空間の中を天体が飛び散るのではなく、空間の尺度そのものが大きくなるという意味です。パン生地のたとえは、外側に空気(=外の空間)があるかのような誤解を生みやすいため、本文では「外の空気の中でふくらむ風船とはかぎらない」と補っています。
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永遠のインフレーションは、量子ゆらぎや準安定真空などにより、一部の領域で膨張が続くモデルの総称です。通常のインフレーションを採用すれば自動的にマルチバースが確定する、というわけではありません。
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「あわ」は、因果的に分かれた時空領域を説明するための概念図です。既存の空間にシャボン玉が浮かんでいるという意味ではなく、あわを外側から眺める挿絵も説明上の視点にすぎません。
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あわ(泡宇宙)ごとに物理定数や低エネルギーの法則が異なるという話は、永遠のインフレーションと真空のランドスケープなどを組み合わせた一部のシナリオであり、マルチバース仮説一般の必須条件ではありません。
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泡どうしの衝突痕跡を宇宙マイクロ波背景放射に探す研究はモデル依存です。決定的な証拠は得られていませんが、未検出であることは、あらゆるマルチバース仮説を否定した証明にはなりません。
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本記事が扱うのは宇宙論的マルチバースです。量子力学の多世界解釈や、SF的なパラレルワールドとは別概念であり、本文ではまとめて「別世界」と呼ばないようにしています。
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ねこ換算の根拠: 観測可能な宇宙の現在の共動直径を約930億光年、1光年を約9.46×10^15 m、ねこ1匹を0.5 mとして、930億光年 × 9.46×10^15 m ÷ 0.5 m ≒ 1.76×10^27匹。約930億光年は標準宇宙モデルから求めた概数で、宇宙全体の大きさではありません。宇宙の年齢が約138億年なのに直径が約276億光年にならないのは、光が進む間にも空間が膨張したためです。
参考にした資料
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ESA — The cosmic microwave background and inflation: https://www.esa.int/Science_Exploration/Space_Science/Planck/The_cosmic_microwave_background_and_inflation
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NASA — What Is the Universe?: https://science.nasa.gov/exoplanets/what-is-the-universe/
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NASA — What Is a Light-Year?: https://science.nasa.gov/exoplanets/what-is-a-light-year/
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Planck Collaboration — Planck 2018 results. X. Constraints on inflation: https://doi.org/10.1051/0004-6361/201833887
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BICEP/Keck Collaboration — Improved Constraints on Primordial Gravitational Waves: https://doi.org/10.1103/PhysRevLett.127.151301
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Alan H. Guth — Inflationary universe: https://doi.org/10.1103/PhysRevD.23.347
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A. D. Linde — Eternally existing self-reproducing chaotic inflationary universe: https://doi.org/10.1016/0370-2693(86)90611-8
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Stephen M. Feeney et al. — First Observational Tests of Eternal Inflation: https://doi.org/10.1103/PhysRevLett.107.071301
(最終更新日: 2026-08-11)