4コマ「タイムマシンは作れるの?」。1コマ目みい「きのうに戻って、宿題をやり直せる?」、2コマ目ゆう「未来へ進む時間の差は測れているけど、過去へ戻る方法は、まだ空想・仮説の話だよ」、3コマ目みい「じゃあ、日めくりを一枚もどせば、きのうをやり直せるね!」、4コマ目ゆう「戻ったのは日付の紙だけ。宿題の赤い×は、消えてないよ」
みいみい

ゆう! タイムマシンを作ったよ! だんボールに時計つき!

ゆうゆう

なるほど、時計つきなんだねえ。答えは、半分だけ「うん」なんだ

みいみい

昼寝箱ひるねばこじゃないよ! ほんとうのは?

未来みらいへ行く話と、過去かこへもどる話はべつもの

タイムマシンは作れるの?(未来へ行く話と、過去へもどる話は別もの)
みいみい

時間のたびには、2つの種類しゅるいがあるの?

ゆうゆう

じつはね、未来へ行く話と、過去へもどる話があるんだ

みいみい

同じ時間の旅なのに、分けるんだね

ゆうゆう

使つか物理ぶつりも、証拠しょうこがあるかどうかも、まるでちがうんだ

みいみい

証拠まで、ちがうんだ……

ゆうゆう

ぼくたちは今も、1びょうに1秒ずつ、未来へすすんでいるよ

みいみい

にゃんと!! みい、もう旅のとちゅうなの!?

みいみい

そうか。未来への旅は、進み方にがつくんだね!

はやうごく時計は、ほんの少しゆっくり進む

タイムマシンは作れるの?(速く動く時計は、ほんの少しゆっくり進む)
みいみい

どうやって、時間に差をつけるの?

ゆうゆう

速く動くんだ。同じ時計を2つ用意よういして、かたほうだけ旅に出す

みいみい

帰ってから、2つを見くらべるんだね

ゆうゆう

うん。旅した時計のほうが、少しだけ進んでいないんだ

みいみい

じゃあ速く走れば、宿題しゅくだいの時間もみじかくなる?

ゆうゆう

みい、宿題も少し早くわると思ったんだねえ

みいみい

うん! 宿題はそのままなの!

ゆうゆう

ねこが走る速さでは差が小さすぎるけど、飛行機ひこうき原子げんし時計をのせた実験じっけんはかられているよ

みいみい

えっ、自分のそばの時計は、いつもどおりなんだ

ゆうゆう

そう。差が分かるのは、また会って見くらべたときだけだよ

みいみい

じゃあ、会ってくらべて、はじめて差がわかるんだね!

重力じゅうりょくの強さがちがっても、時計はずれる

タイムマシンは作れるの?(重力の強さがちがっても、時計はずれる)
みいみい

速さのほかにも、時計をずらす方法ほうほうはあるの?

ゆうゆう

あるよ。重力の強さがちがう場所ばしょでも、時計の進み方はずれるんだ

みいみい

重力が強い下の時計ほど、ゆっくり進むんだね

ゆうゆう

そう。重力が強い下のほうの時計は、上よりほんの少しゆっくり進むんだ

みいみい

じゃあ高いたなの上なら、早くおやつの時間だー!

ゆうゆう

そのくらいの高さだと、みいのおなかの時計のほうが、ずっと早いねえ

みいみい

うっ、バレてる!

ゆうゆう

高さが数十センチでも、とても正確せいかくな時計なら差が分かるんだ

みいみい

おなかの時計じゃなくて、ほんものの時計の話だよ!

ゆうゆう

GPSの衛星えいせいでも、速さのぶんと重力のぶんを両方りょうほう直しているよ

みいみい

にゃんと!! 地図の道あんないが、時間の科学を使ってるの!?

過去へもどる道は、数式すうしきの中にあるの?

タイムマシンは作れるの?(過去へもどる道は、数式の中にあるの?)
みいみい

未来の話は分かったよ。じゃあ、過去へもどるのは?

ゆうゆう

重力の理論りろんには、時間の道がになって、出発しゅっぱつより前へもどる特別とくべつな答えがあるんだ

ゆうゆう

回っている宇宙うちゅうの答えや、ワームホールという時空の近道の模型もけいが、研究けんきゅうされているんだ

みいみい

近道なら、みいがるよ! トンネル、とくいだもん!

ゆうゆう

土のトンネルを想像そうぞうしたんだねえ。土のトンネルとは、材料ざいりょう条件じょうけんもぜんぜんちがうんだ

ゆうゆう

その近道をいたままにするには、わった物質ぶっしつがいる、という模型もあるよ

みいみい

でも、その近道はほんとうに通れるの? ちょっとこわいよ

ゆうゆう

でもその物質も、通れるワームホールも、まだ見つかっていないんだ

ゆうゆう

……うん。いまは、みいのとなりにいるよ

みいみい

そっか。いっしょなら、だいじょうぶ

数式でできても、作れるとはかぎらない

タイムマシンは作れるの?(数式でできても、作れるとはかぎらない)
みいみい

数式に答えがあるなら、作れるってこと?

ゆうゆう

そこが大事だいじなところだよ。数式は、できあがりの約束やくそくではないんだ

ゆうゆう

料理りょうりの本に、きれいなケーキの絵がのっていてもね

みいみい

材料がなかったら、作れないね

みいみい

いているとちゅうでくずれても、作れないままだね

ゆうゆう

うん。だから、数式だけでは作れるとはかぎらないんだ

ゆうゆう

自然しぜんにその形があるか、材料がそろうか、こわれないか、安全あんぜんに通れるか

みいみい

この4つを別々べつべつにたしかめるんだね。未来のみいから、おやつのレシピだけおくってもらう!

ゆうゆう

そのレシピを、いちばん最初さいしょに考えたのはだれだろうねえ

みいみい

にゃ……にゃんだか、頭がこんがらがってきた!

ゆうゆう

今作れているのは、時間の差を測る時計まで。過去へ行く装置そうちはまだだよ

ねこ換算

ゆうゆう

光は1秒で、およそ30万キロメートル進むんだ

みいみい

それって、どのくらい速いの?

ゆうゆう

ねこのジャンプ1回を1.5メートルとすると、1秒でおよそ2おく回ぶんだね

みいみい

にゃんと!! 2億回! みいがやったら何年かかるの!?

ゆうゆう

光に近い速さほど、時間の差は大きくなる。でもおものある船は、光の速さにはとどかないんだ

3ぎょうまとめ

  • 未来への時間の差は本当にあり、動く時計や高さのちがう時計で測られている

  • でも、人を遠い未来へはこぶ宇宙船も、過去へもどる装置も、まだ作られていない

  • 数式に答えがあることと、実際じっさいに作れることは、まったく別の問題もんだい

きょうのナゾ

みいみい

数式の中に道があっても、宇宙はほんとうに作らせてくれるの?

ゆうゆう

道ができる直前に、量子りょうしのゆらぎが大きくなってこわす、と考える博士はかせもいるよ

みいみい

重力と量子を合わせた答えは、まだできていないんだね

ゆうゆう

まだ答えがまっていないから、これからがワクワクするね

つぎはこれ!

おとなメモ(おうちの方・先生へ)

  • 相対論的な「時間の遅れ」は、時計が故障したり本人の体感だけが遅くなったりする現象ではありません。各観測者の固有時間は通常どおり進み、異なる経路をたどって再会した時計を比べると、経過時間が異なります。

  • 「速く動く時計は遅れる」は、どの基準系から比べるかを省いた入口の表現です。等速運動どうしの関係は対称ですが、往復する双子の例では折り返しにより世界線が異なるため、再会時の固有時間差を計算できます。

  • 航空機搭載原子時計の Hafele–Keating 実験は、速度による効果と重力による効果の両方を含みます。「飛行機の時計は必ず遅れる」ではなく、東回り・西回りと地球の自転を含む基準系に依存した予測と比較した実験です。

  • GPS衛星ではおおまかに、運動による遅れが約7マイクロ秒/日、重力による進みが約45マイクロ秒/日で、差し引き約38マイクロ秒/日進むとされます。実際の測位には軌道離心率、地球の自転、Sagnac効果などの追加補正もあります。

  • 「重力が強いほど時計が遅い」も、静的で弱い重力場での入口表現です。一般には時空の計量と観測者の世界線に沿う固有時間で扱います。高さ数十cmの差は高精度な光時計で測定されていますが、日常の時計で見える大きさではありません。

  • ねこ換算の根拠: 真空中の光速 約30万km/s = 約3億m/s。ねこのジャンプ1回を1.5mとすると、3億 ÷ 1.5 = 約2億回/秒。なお、質量を持つ物体は真空中の光速には到達できません。光速へ近づくほど必要なエネルギーが際限なく増えるためです(例として、光速の約99.5%ならローレンツ因子 γ ≈ 10 で、船内の1年に対し慣性系で約10年。これは等速区間だけの概算で、加減速や推進エネルギー、放射線対策を含む旅行計画ではありません)。

  • 一般相対性理論に「閉じた時間的曲線」を含む解があることは、過去へ行く装置が作れることを意味しません。その解が私たちの宇宙の条件に合うか、必要な物質が物理的に許されるか、ゆらぎに対して安定かを、別々に検討する必要があります。

  • Gödel解は回転する均質宇宙の解で、観測される私たちの宇宙のモデルではありません。Kerrブラックホールの最大解析拡張にも閉じた時間的曲線の領域が現れますが、内部の安定性や到達可能性に大きな問題があるため、旅行経路としては紹介していません。

  • 本文の「ワームホール」は Morris–Thorne 型の理論模型を指します。観測されたブラックホールがワームホールだと確認された事実はなく、「ブラックホールに入れば別の時代へ出る」とは言えません。

  • 通過可能ワームホールを保つモデルでは、古典的なエネルギー条件に違反する応力エネルギーが必要になります。量子場で議論される局所的な負エネルギーと、自由に集められる安定した「負の質量物質」を同一視しないでください。

  • Hawkingの年代記保護仮説は、閉じた時間的曲線ができる境界で量子場の効果が大きくなり、形成を妨げる可能性を論じるものです。半古典重力の議論には限界があり、「タイムマシンは不可能と証明された」わけではありません。

  • 祖父殺しのパラドックスや、情報の出所が消えるブートストラップ・パラドックス(本文のレシピの話)は、因果構造を考えるための思考実験です。自己無撞着条件や分岐する世界という提案はありますが、実証済みの解決策ではありません。

参考にした資料

(最終更新日: 2026-08-11)