
ゆう! タイムマシンを作ったよ! 段ボールに時計つき!

なるほど、時計つきなんだねえ。答えは、半分だけ「うん」なんだ

お昼寝箱じゃないよ! ほんとうのは?
未来へ行く話と、過去へもどる話は別もの


時間の旅には、2つの種類があるの?

実はね、未来へ行く話と、過去へもどる話があるんだ

同じ時間の旅なのに、分けるんだね

使う物理も、証拠があるかどうかも、まるでちがうんだ

証拠まで、ちがうんだ……

ぼくたちは今も、1秒に1秒ずつ、未来へ進んでいるよ

にゃんと!! みい、もう旅のとちゅうなの!?

そうか。未来への旅は、進み方に差がつくんだね!
速く動く時計は、ほんの少しゆっくり進む


どうやって、時間に差をつけるの?

速く動くんだ。同じ時計を2つ用意して、かたほうだけ旅に出す

帰ってから、2つを見くらべるんだね

うん。旅した時計のほうが、少しだけ進んでいないんだ

じゃあ速く走れば、宿題の時間も短くなる?

みい、宿題も少し早く終わると思ったんだねえ

うん! 宿題はそのままなの!

ねこが走る速さでは差が小さすぎるけど、飛行機に原子時計をのせた実験で測られているよ

えっ、自分のそばの時計は、いつもどおりなんだ

そう。差が分かるのは、また会って見くらべたときだけだよ

じゃあ、会って比べて、はじめて差がわかるんだね!
重力の強さがちがっても、時計はずれる


速さのほかにも、時計をずらす方法はあるの?

あるよ。重力の強さがちがう場所でも、時計の進み方はずれるんだ

重力が強い下の時計ほど、ゆっくり進むんだね

そう。重力が強い下のほうの時計は、上よりほんの少しゆっくり進むんだ

じゃあ高いたなの上なら、早くおやつの時間だー!

そのくらいの高さだと、みいのおなかの時計のほうが、ずっと早いねえ

うっ、バレてる!

高さが数十センチでも、とても正確な時計なら差が分かるんだ

おなかの時計じゃなくて、ほんものの時計の話だよ!

GPSの衛星でも、速さのぶんと重力のぶんを両方直しているよ

にゃんと!! 地図の道あんないが、時間の科学を使ってるの!?
過去へもどる道は、数式の中にあるの?


未来の話は分かったよ。じゃあ、過去へもどるのは?

重力の理論には、時間の道が輪になって、出発より前へもどる特別な答えがあるんだ

回っている宇宙の答えや、ワームホールという時空の近道の模型が、研究されているんだ

近道なら、みいが掘るよ! トンネル、とくいだもん!

土のトンネルを想像したんだねえ。土のトンネルとは、材料も条件もぜんぜんちがうんだ

その近道を開いたままにするには、変わった物質がいる、という模型もあるよ

でも、その近道はほんとうに通れるの? ちょっとこわいよ

でもその物質も、通れるワームホールも、まだ見つかっていないんだ

……うん。いまは、みいのとなりにいるよ

そっか。いっしょなら、だいじょうぶ
数式でできても、作れるとはかぎらない


数式に答えがあるなら、作れるってこと?

そこが大事なところだよ。数式は、できあがりの約束ではないんだ

料理の本に、きれいなケーキの絵がのっていてもね

材料がなかったら、作れないね

焼いているとちゅうでくずれても、作れないままだね

うん。だから、数式だけでは作れるとはかぎらないんだ

自然にその形があるか、材料がそろうか、こわれないか、安全に通れるか

この4つを別々にたしかめるんだね。未来のみいから、おやつのレシピだけ送ってもらう!

そのレシピを、いちばん最初に考えたのはだれだろうねえ

にゃ……にゃんだか、頭がこんがらがってきた!

今作れているのは、時間の差を測る時計まで。過去へ行く装置はまだだよ
ねこ換算

光は1秒で、およそ30万キロメートル進むんだ

それって、どのくらい速いの?

ねこのジャンプ1回を1.5メートルとすると、1秒でおよそ2億回ぶんだね

にゃんと!! 2億回! みいがやったら何年かかるの!?

光に近い速さほど、時間の差は大きくなる。でも重さのある船は、光の速さには届かないんだ
3ぎょうまとめ
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未来への時間の差は本当にあり、動く時計や高さのちがう時計で測られている
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でも、人を遠い未来へ運ぶ宇宙船も、過去へもどる装置も、まだ作られていない
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数式に答えがあることと、実際に作れることは、まったく別の問題
きょうのナゾ

数式の中に道があっても、宇宙はほんとうに作らせてくれるの?

道ができる直前に、量子のゆらぎが大きくなってこわす、と考える博士もいるよ

重力と量子を合わせた答えは、まだできていないんだね

まだ答えが決まっていないから、これからがワクワクするね
つぎはこれ!
おとなメモ(おうちの方・先生へ)
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相対論的な「時間の遅れ」は、時計が故障したり本人の体感だけが遅くなったりする現象ではありません。各観測者の固有時間は通常どおり進み、異なる経路をたどって再会した時計を比べると、経過時間が異なります。
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「速く動く時計は遅れる」は、どの基準系から比べるかを省いた入口の表現です。等速運動どうしの関係は対称ですが、往復する双子の例では折り返しにより世界線が異なるため、再会時の固有時間差を計算できます。
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航空機搭載原子時計の Hafele–Keating 実験は、速度による効果と重力による効果の両方を含みます。「飛行機の時計は必ず遅れる」ではなく、東回り・西回りと地球の自転を含む基準系に依存した予測と比較した実験です。
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GPS衛星ではおおまかに、運動による遅れが約7マイクロ秒/日、重力による進みが約45マイクロ秒/日で、差し引き約38マイクロ秒/日進むとされます。実際の測位には軌道離心率、地球の自転、Sagnac効果などの追加補正もあります。
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「重力が強いほど時計が遅い」も、静的で弱い重力場での入口表現です。一般には時空の計量と観測者の世界線に沿う固有時間で扱います。高さ数十cmの差は高精度な光時計で測定されていますが、日常の時計で見える大きさではありません。
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ねこ換算の根拠: 真空中の光速 約30万km/s = 約3億m/s。ねこのジャンプ1回を1.5mとすると、3億 ÷ 1.5 = 約2億回/秒。なお、質量を持つ物体は真空中の光速には到達できません。光速へ近づくほど必要なエネルギーが際限なく増えるためです(例として、光速の約99.5%ならローレンツ因子 γ ≈ 10 で、船内の1年に対し慣性系で約10年。これは等速区間だけの概算で、加減速や推進エネルギー、放射線対策を含む旅行計画ではありません)。
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一般相対性理論に「閉じた時間的曲線」を含む解があることは、過去へ行く装置が作れることを意味しません。その解が私たちの宇宙の条件に合うか、必要な物質が物理的に許されるか、ゆらぎに対して安定かを、別々に検討する必要があります。
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Gödel解は回転する均質宇宙の解で、観測される私たちの宇宙のモデルではありません。Kerrブラックホールの最大解析拡張にも閉じた時間的曲線の領域が現れますが、内部の安定性や到達可能性に大きな問題があるため、旅行経路としては紹介していません。
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本文の「ワームホール」は Morris–Thorne 型の理論模型を指します。観測されたブラックホールがワームホールだと確認された事実はなく、「ブラックホールに入れば別の時代へ出る」とは言えません。
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通過可能ワームホールを保つモデルでは、古典的なエネルギー条件に違反する応力エネルギーが必要になります。量子場で議論される局所的な負エネルギーと、自由に集められる安定した「負の質量物質」を同一視しないでください。
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Hawkingの年代記保護仮説は、閉じた時間的曲線ができる境界で量子場の効果が大きくなり、形成を妨げる可能性を論じるものです。半古典重力の議論には限界があり、「タイムマシンは不可能と証明された」わけではありません。
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祖父殺しのパラドックスや、情報の出所が消えるブートストラップ・パラドックス(本文のレシピの話)は、因果構造を考えるための思考実験です。自己無撞着条件や分岐する世界という提案はありますが、実証済みの解決策ではありません。
参考にした資料
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Albert Einstein — On the Electrodynamics of Moving Bodies: https://web.archive.org/web/20250708021629/https://einsteinpapers.press.princeton.edu/vol2-trans/154
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J. C. Hafele and R. E. Keating — Around-the-World Atomic Clocks: Predicted Relativistic Time Gains: https://doi.org/10.1126/science.177.4044.166
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J. C. Hafele and R. E. Keating — Around-the-World Atomic Clocks: Observed Relativistic Time Gains: https://doi.org/10.1126/science.177.4044.168
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R. V. Pound and G. A. Rebka Jr. — Gravitational Red-Shift in Nuclear Resonance: https://doi.org/10.1103/PhysRevLett.3.439
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C. W. Chou et al. — Optical Clocks and Relativity: https://doi.org/10.1126/science.1192720
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Neil Ashby — Relativity in the Global Positioning System: https://doi.org/10.12942/lrr-2003-1
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Kurt Gödel — An Example of a New Type of Cosmological Solutions of Einstein’s Field Equations of Gravitation: https://doi.org/10.1103/RevModPhys.21.447
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M. S. Morris, K. S. Thorne, and U. Yurtsever — Wormholes, Time Machines, and the Weak Energy Condition: https://doi.org/10.1103/PhysRevLett.61.1446
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Stephen W. Hawking — Chronology Protection Conjecture: https://doi.org/10.1103/PhysRevD.46.603
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L. H. Ford and T. A. Roman — Quantum field theory constrains traversable wormhole geometries: https://doi.org/10.1103/PhysRevD.53.5496
(最終更新日: 2026-08-11)